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<<   作成日時 : 2012/02/21 05:34   >>

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TOEICの点数にかかわる質問をYahoo知恵袋でよく目にします。
例えば
「300点上げたいんですけど、どれくらい時間がかかりますか?」
「1.5ヶ月で200点上げたいんですけどお薦めの参考書はありますか?」
「1ヶ月で、TOEICの点数を300から500にUP出来るでしょうか!?」
中には
「TOEIC 990点を取るには何を勉強したらいいですか?」というものまであります。

どういう感覚かと言うと

英語が難しいということが実感として分からないのだと思います。インターネットを使えば、そのとき知りたいことをたいていすぐに調べられる時代です。インターネットにある知識が自分の知識であるかのように錯覚している人が多いのかもしれません。学問なんて、ちょっと勉強すれば頭にインストールできると思っているのかもしれません。
英語に関して言えば、分からない単語は英辞郎をみればわかるし、自動翻訳を使えば日英の変換が簡単にできる、と思っているのかもしれません。

知識を順序良く築き上げていくことをせずに、分からないと思ったことだけをインターネットで調べて、それで分かった気になる、というようなことが習慣化しているのかもしれません。これは英語に限ったことではなく、ほかの学問においてもそんな感じで、「積み重ね」の意識が薄く、教科書を最初から読んでいくという習慣が少なくなっているように思えます。

でも、学問はそんなものではないし、特に英語は、頭の中の語彙や語法・文法を瞬時に総動員して使うものなので、それを習得することは、容易なことではありません。


TOEICをどうとらえる

私はTOEICの点数増自体をゴールにすることは間違っていると思います。TOEIC点数はある程度の尺度にはなりますが。英語習得のゴールはそこにはありません。

TOEICはもともと、TOEFLという世界的に認知されたテストを運営するEducational Testing Services (ETS)が、北岡さんという人の依頼に基づき、日本人向けに作ったものだそうです。「世界約120カ国で行われている」とは言うものの、受験者数の90%は日本人と韓国人で占められているようです。

よく「TOEICは、世界的に知られているTOEFLを運営するETS(アメリカ)が運営するテストです」などと表現されましたが、「世界的に知られている」は「テスト」にかかるのではなく、「TOEFL」にかかっています。「世界的に知られるテストです」ではなくて「TOEFLは世界的に知られていますが、それと同じTOEFLが運営するテストです」ということで、「ずるい表現だなあ」と以前から感じていましたが、最近はその表現はやめたみたいです。

TOEIC高得点の人でも、ほとんど発話できない人やまともに書けない人をときどきみます。要するに、受信はできても発信ができない人がいます。
そこで、筆記とTOEIC点数の相関を調べた結果がないか探してみました。見つかったのは、「 相関係数は0.6程度」という答です。統計を知っている方には感覚的に分かると思いますが、相関係数は0が最低 1が最高で、0.6というのは「ぎりぎり相関がある程度」です。例えば、1月の平均気温と7月の平均気温の相関係数がちょうど0.6くらいです。「冬が寒けりゃ夏も涼しい」って、なんだか当てにならない感じですが、TOEICと筆記能力の関係もその程度の相関です。

以前の記事にも書きましたが、日本の人は。実力はともかく、点数を上げようとします。私の家の近所の書店の英語売り場は、その半分がTOEIC関連で占められています。そのうちの多くが問題集です。 楽天で調べると、「TOEIC」と名のつく書籍数が、「英文法」と名のつく書籍数を超えています。実力よりも、とにかくTOEIC得点という値札(点数)が欲しい人が多いようです。そんな人たちの努力の結果、TOEIC受験名人が生まれてしまうのも、TOEICと実力の相関が高くない原因のひとつかもしれません。

TOEICの点をゴールにすることは良くないですが、ちゃんとしたゴールを持って、その点数の意味するところを理解した上でそれを指標とすることや、励みにすることは良いことだと思います。
「TOEICは実力との相関が低いローカル指標だ」などと攻撃された上に、信奉者からも「TOEIC対策」などと、攻撃対象か目の敵みたいな言葉で扱われたら、さすがにTOEICだってかわいそうです。


どれくらい勉強すれば

さて、TOEICをひとつの指標として捉えるとして、最初の方の疑問、「どれくらい勉強したらどれくらい点数が上がるか」についてです。
TOEICを運営しているETSのホームページにこうあります。“100点伸ばすには、300時間の英会話研修が必要というデータがある”。他にもその種のデータがないか見てみましたが、やはり同様のデータがありました。そっちはもう少し詳しかったのですが、例えば、500点の人が800点までになるためには900時間の学習が、600点の人が900点までになるためには1050時間がそれぞれ必要と言っていて、ETSの300時間/100点と概ね合っています。
300点上げようとすると、毎週2時間勉強して1年で約100時間になるから9年かかる計算になります。毎日1時間勉強すると2年と半年くらいかかる計算です。
これらデータは平均の値ですので、もちろんそれよりずっと早く達成することはありますが、逆にそれより遅くなってしまう場合もあるでしょう。

第二言語を習得するというのはそれほどたいへんなものです。母国語を習得する場合だって、子供は一年に約2,000時間の言葉を聴くわけですから。 時間はかかるんです。

では、仕事で英語を使いたい場合、何点くらいあったらいいのでしょう。それに関して、古いものですがNHKのラジオビジネス英語講座テキスト(2004年12月)にこんな記載がありました:
「TOEICで何点取れば、英語で仕事ができますか?」という質問をよく受ける。750点でも、コミュニケーション能力が高く、教養があり、人柄もよければ、仕事でよい結果が期待できるかもしれない。「え! 750点って高くないの?」と思っている方、英語で仕事をする気なら、せめてこの程度はクリアしてほしい。」(昭和女子大学教授 増澤史子)

2011年4月20日号の「SAPIO」の記事では
大前研一、佐藤優に学ぶ「使える英語克服術」 にこうありました:
「第一段階(初級)は、単語や表現を覚えて英語が羞恥心なくスラスラと出てくるようにする。 ビジネスの基本を身につけるためには、年間700時間の勉強を何年か(TOEIC400点台の人なら5年)続けなければならない。」(大前研一) 700時間×5年=3,500時間です。

「分かりやすい文章の技術」など、たいへんためになる本を書かれている藤沢晃司氏の「日本人が英語をモノにするにする一番確実な勉強法 」という本に書かれていることは、結局「地道にやる」ということです。

国民性として、分からなくても「分からない」と言わないところがあります。目標を高く持って難しい問題を解こうとすれば実力も上がるものだと思ってしまうところもあります。中途半端な理解のまま見栄を張って次のステップに進んでしまいがちです。例えば中学で学ぶ基本動詞の活用を知らないまま、それで高校生の長文読解問題に挑戦するひともいます。でも、地道に、一歩づつ進むのが、いちばんの近道だと思います。どのみち時間はかかります。


英語はほんとうに難しいものです。ちょっと勉強しただけでできるようにはなりません。
でも、その気になれば習得に近づけます。その気(木)には必ず甘い果実が実ります。
熟すには時間がかかるかもしれませんが。 腐ることなく、どんどん熟していきます。

すずきひろし
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2012/06/04 06:58

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